2008-03-01から1ヶ月間の記事一覧

シバザクラ、あるいは江藤淳の錯誤

二か月ほど前、江藤淳が「山川方夫と私」において、山川の死後、彼をモデルにした小説を発表し彼を無能の編集者として揶揄したYという流行作家の卑劣さを告発している、と書いた(id:qfwfq:20080127)。それにたいするコメントで、その小説は「シバザクラ」で…

おお我が友よ、タワリーシチよ!

「ユリイカ」3月号で翻訳家の岸本佐知子さんが洋書のジャケ買いの話をされていて、そうそう、そうなんだよな、とまるで岸本さんが訳されたニコルソン・ベイカーの本を読んだときと同じような相槌を打ってしまった。洋書は買ってもほとんど読まないので最近…

しめこのうさうさ――武藤康史『文学鶴亀』を読む(その2)

先週の図書新聞(3月15日号)に掲載された東京堂書店の売上げトップテンの第四位に『文学鶴亀』が入っていた。東京堂書店ならでは、というか、こういう本は東京堂で買いたいという読者もきっといるのだろう。ちなみに、トップテンを掲げると、 東京堂書店…

松永伍一さんの死を悼む

松永伍一さんが亡くなった。 四十年ちかく親交のあった俳優・歌手の西郷輝彦さんによれば、三月二日の夜十時過ぎ、危篤の知らせに病院へ駆けつけたが、十二時十六分、静かに息を引き取られたという(<西郷輝彦のつぶやきblog>)。 学生時代、愛読した批評…

武藤康史『文学鶴亀』を読む(その1)

週末、某所に籠る。終日軟禁状態で二泊を過ごすため、さて何の本を持って行こうかとあれこれ物色し、なんとか決まりかけたところへ畏友武藤康史の新刊『文学鶴亀』が届く。鞄に入れかけた本を本棚に戻し、『文学鶴亀』を仕舞い込む。二段組330頁、相手にとっ…