2009-05-01から1ヶ月間の記事一覧

To the happy few ――『柳田泉の文学遺産』

村上春樹さんの新作『1Q84』が書店に文字通り山積みになっていた。発売日に上下巻あわせて六十八万部(四刷)という数字は純文学の小説としては前代未聞じゃないだろうか。純文学じゃなくても近年では記憶にない(ハリポタぐらいか)。わたしもその売上げ…

先頃入手した一冊の文庫本について書いてみたい。 佐多稲子著『女の宿・水・人形と笛 他七編』。カバーの表には、大柄の葉をもつ草花と「女の宿」の文字が彫られた版画(芦川保)に、明朝体で佐多稲子短篇集という墨文字が乗っている。素朴な味わいのある好…

アサミフチとは俺のことかと浅見淵

「槻の木」四月号に来嶋靖生さんの「浅見淵随筆集『燈火頬杖』(藤田三男編)を読む」が掲載されている。同号には渡辺守利氏の「浅見淵随筆集『燈火頬杖』のことなど」もあり、『新編 燈火頬杖』(ウェッジ文庫)の批評号となっている。 来嶋さんは、この文…