2008-05-01から1ヶ月間の記事一覧

孤島へ持って行く本――ナボコフ再訪(4)

孤島へ持って行くとしたらどういう本を選ぶか、という設問がある。最近の例でいえば「coyote」4月号の「アメリカの文学史を引き受けるような十人の作家から一冊ずつ選ぶとしたら」という質問に、柴田元幸さんはこう答えている。 フォークナーの『響きと怒り…

夢の浅瀬を渡る

しばらく入院していた。体に不調のあることは検査によって数ヶ月前からわかってはいたが、さまざまな事情があって五月中旬に入院することになった。施術それ自体はシンプルで、体内の患部を切除し、その周辺の配管をつくろったのち、創口を縫合する。それだ…

高祖保よ、君をしのぶよ

某月某日。高祖保の詩集『雪』を古書展で入手する。うれしい。 昭和十七年、自家版として文藝汎論社から百五十部限定で発行された。高祖保の第三詩集にあたる。 『雪』より、一篇、引こう。 「みづうみ」 ほととぎす啼や湖水のささ濁り 丈艸 私は湖をながめ…