2008-04-01から1ヶ月間の記事一覧

心の降りる場所――横山未来子歌集『花の線画』

昨日(4月26日)の朝日新聞朝刊に、横山未来子さんの『花の線画』(青磁社)が第四回葛原妙子賞を受賞したと発表されていた。以前たまたまこの歌集を読み感心していたのでこの機会に再読し、あらためて感銘を受けた。そのことについてふれてみたい。 わたし…

「かやつり草」の余白に――岩本素白の随筆(その3)

平凡社ライブラリーから『素白随筆集』が出た。素白が生前に刊行した二冊の随筆集『山居俗情』と『素白集』とを合本したもの。わたしは原本を架蔵していないが、原本の旧仮名遣いを踏襲したむね記されている。漢字は新字になっているけれども、藝、附など特…

ノンちゃんかく語りき

本を読んでいて思わず「おお!」と嘆息することがある。いまなら差し詰め「マジすか?」とでもいうところだ。光文社古典新訳文庫のカフカを読んだときの「マジすか?」については以前書いたことがある(id:qfwfq:20070909)。最近驚いたのは野上照代さんの書か…

才子多病――結城信一と廣津賢樹

前々回ちらと書いた『結城信一 評論・随筆集成』と『作家のいろいろ』との異同について調べてみたのでご報告しよう。 『評論・随筆集成』は『作家のいろいろ』の増補版であり、「室生さんの死」と「室生犀星への旅」、そして<あとがき>を除く『作家のいろ…