2023-01-01から1年間の記事一覧

『魂のまなざし』――音と映像のマスターピース

ヘレン・シャルフベック。フィンランドを代表する画家だという。この画家の存在を映画で初めて知った。邦題の『魂のまなざし』は、2015~16年に開催された展覧会「ヘレン・シャルフベック――魂のまなざし」を踏襲したもの(原題はシンプルにHELENE)。 映画は…

さようなら、柳澤愼一さん

三谷幸喜が朝日新聞の連載コラム「ありふれた生活」(7月20日夕刊)で、彼が監督した『ザ・マジックアワー』が、昨年、中国でリメイクされて大ヒットしたと書いていた。日本円にして530億以上の興収で、これは中国映画全体の年間第3位の興収だという。日本…

水道を止めた男――河林満『渇水』を読む

4、5日前の朝刊に懐かしい名前を見つけておっと思った。角川文庫の全5段新刊広告で、河林満の『渇水』が発売されるという。映画化原作をキャッチフレーズに、内容紹介のかわりに映画のスタッフ・キャスト、公開日などが記されていた。河林満の名前と『渇…

雪月花不思議の国に道通ず

北村薫さんの『雪月花 謎解き私小説』が文庫になった。単行本が出版されたのが2020年8月だから、2年半後の文庫化ということになる。ちょうどいい頃合いだが、もうそんなに経ったのかというのが実感。単行本は読んだあと三島由紀夫に縁の深い方に差し上げた…