2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

藤田三男、そして三島由紀夫

――三島由紀夫の「仮面」と「素面」 1 今月、河出文庫の新刊で三島由紀夫の対談集『源泉の感情』が出た。親本は一九七〇年十月三十日、自決のひと月前に刊行された三島由紀夫生前最後の単行本である。小林秀雄、安部公房、福田恆存といった文学者、および坂…

来嶋靖生、そして藤田三男

1 前回、触れられなかったエピソードを一つ。来嶋靖生が小学館発行の『探訪日本の陶芸』の編集に携わっていたときのことである。 月報に掲載するため立原正秋と林屋晴三の対談を都内のホテルで行なった。両氏ともに和食が好みであることは承知していたが、…

来嶋靖生――生命の吐息の歌

1 小中英之さんについて書き継いできた拙文が機縁で、天草季紅さんから小中さんが執筆したN紙の短歌時評のコピーを送っていただいた。私のあやふやな記憶をたよりに、わざわざ図書館まで出かけて検索されたのである。ありがたいことである。昭和五十二(一…

板倉鞆音、そして三好豊一郎、天野忠、大槻鉄男

1 前回、天野忠が板倉鞆音訳のリンゲルナッツ詩集『運河の岸辺』に「詩をつくるこつを教えられた」と語った、と書いた。それを知ってか知らずか、天野忠とリンゲルナッツの親和を手がかりに天野忠の詩を論じているのは三好豊一郎である*1。 「詩集『クラス…