2007-03-01から1ヶ月間の記事一覧

一茎の花――火の雉子、水の梔子(その2)

前回の「火の雉子、水の梔子」に、藤原龍一郎氏よりコメントをいただいた。<叢書 火の雉子>の『堕ちたる天使』の歌人は、藤原さんのご指摘のとほり栗秋さよ子である。栗秋さよ子の名を記憶してゐる人は、歌人のなかにもさうはゐまいと思はれる。試みにイン…

火の雉子、水の梔子

先頃法事で田舎へ帰つた。両親ともに他界し、生家に私の居処はもはやない。学生時代に買ひためた本だけが、かつて私がそこにゐた証しのやうに埃をかぶりつつ場処を塞いでゐる。いまの私の手狭な棲まひにこれ以上よけいな本を置く余裕はない。生家に置き去り…