2007-10-01から1ヶ月間の記事一覧

巣穴あるいは出口に関する考察――わたしのなかのカフカへ(その2)

もうすこしカフカをつづけよう。 カフカに「巣穴」という作品がある。「歌姫ヨゼフィーネ」とともにカフカ最晩年の作品である。原題はDer Bau 。Bauには建築、建物、構造、巣穴、それに営倉という意味もある。邦訳では「巣穴」が一般的のようだが、新潮社の…

わたしのなかのカフカへ

ふしぎなものだな、と思う。前回、前々回とカフカについて書いたら、わたしのなかでカフカがかふかに、じゃなかった、かすかに動きだした。まるでアニメートされたゴーレムのように。 ひところ、カフカに凝っていた。新潮社版の邦訳全集旧版と新版、それにカ…