2013-11-01から1ヶ月間の記事一覧

言語という牢獄――岩城けい『さようなら、オレンジ』再々説

上野千鶴子が『さようなら、オレンジ』の書評「グローバル時代の日本語文学」を書いているのを知った*1。さすがに上野らしい鋭い批評で、いろいろと考えさせられることもあった。この小説についてはすでに二度も書いたので屋上屋を架すことになるけれども、…

突風のようなものになぎ倒されること――岩城けい『さようなら、オレンジ』再説

岩城けいの『さようなら、オレンジ』は今年度の太宰治賞を受賞した小説である。選考委員たちがこの作品をどのように評しているのかと思い、太宰賞を主催している筑摩書房のサイト *1をのぞいてみた。 選考委員は、加藤典洋、荒川洋治、小川洋子、三浦しをん…

母語と英語とのあいだで――岩城けい『さようなら、オレンジ』を読む

もう五年ほど前のことになるけれども、若い小説家たちの小説について本欄でふれたことがあった*1。文芸誌でかれらの新作が妍を競っていたのだが、どれもが一様に「発情」しているさまに聊かうんざりさせられた。性を主題にすることが悪いわけではないけれど…