2007-07-01から1ヶ月間の記事一覧

許すべきなにもなけれど――塚本邦雄論序説(8)

下条義雄(げじやうよしお)の第一歌集『春火』を読む。昭和二十五年十月二十五日、青樫発行所刊行。 刊行の翌年、邦雄は「青樫」(昭和二十六年四月号)にこの歌集の書評を書いてゐる*1。タイトル「瞬歌」はいかにも言葉遊びの好きな塚本らしいが、後年の、…

新しき帽子の翳に――塚本邦雄論序説(7)

昭和二十二年(1947)、青年邦雄は「オレンヂ」に入会する、と年譜にある*1。「オレンヂ」は前年の昭和二十一年十一月に創刊された歌誌。前川佐美雄が昭和九年に創刊した「日本歌人」が昭和十六年八月号をもつて休刊し、戦後、名を変えて創刊したもので*2、…