2008-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「あなあな」と「ちんちん」――方法をめぐって

今週の朝日新聞に掲載された斎藤美奈子の文藝時評は、久々にレトリシャン・ミナコらしい才気の窺える文章だった(8月27日朝刊)。時節柄、新人文学賞を北京五輪に見立て、国内予選の通過者すなわち「群像」に発表された五人の新進作家たちの小説を寸評する。…

終戦と美的正義

今日、八月十六日の朝日新聞朝刊の紙面は北京オリンピックの報道一色だった。他紙もおおかた大同小異だろう。わずかに中面で政治家の靖国参拝の記事が申し訳程度に載っていた。戦後六十三年か。「戦争を知らない子供たち」と歌ったわたしの兄姉の世代のアイ…

山田順子ははたして「美人」か

――島崎藤村は要らない本を海に捨てたそうである。 ほんとですか島崎先生。なんと御無体な。 「先生は本が少したまると、品川沖まで小舟でこいで行って、水葬にして来られたのである。」透谷全集の編纂で知られる文学史家の勝本清一郎が随筆集『こころの遠近…