2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

読みやすさとわかりにくさ――山城むつみ 『連続する問題』を読む(その1)

山城むつみ『連続する問題』*1を読む。「新潮」に2002年から2008年にかけて断続的に連載されたコラムに補論を加えて単行本となった。あとがきに、単行本化の申し出をいったん断ったが編集者の熱心な慫慂に「心が動かされた」としるされている。わたしはこれ…

生存の耐えがたい重さに――レオパルディ、カルヴィーノ、そしてあるいは世界文学

マリオ・ジャコメッリといえば、雪のなかで神学生たちが輪になって踊っている写真が有名で、白と黒のハイコントラストの「無垢の歌」(ブレイク)ともいうべきこのシリーズ「私にはこの顔を撫でてくれる手がない」は、このたび開催されたジャコメッリ写真展…

胸の砥石に研ぐ――小柳素子歌集『水あかり』を読む

最近読んで感銘を受けた歌集について書いてみたい。小柳素子の第五歌集『水あかり』。 「槻の木」の師、来嶋靖生の跋文に曰く「この人は背筋正しい文語脈の歌を詠もうと心がけているかに見える。いまこの世代でこれだけ文語の語法を自らのものとし、使いこな…