2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

The Dust of Time――追悼テオ・アンゲロプロス

1月25日朝日新聞朝刊に掲載された斎藤美奈子の文芸時評は、今期芥川賞を受賞した二作を取り上げ、ワイドショーなどで話題の田中慎弥の「共喰い」についてこう書いている。「淀んだ川や釣った鰻が性器の暗喩になっているあたりは陳腐だが、すぐに映画化でき…

生の深さ――ジョイス、小津、フェルメール

頃日、加藤典洋の『小さな天体』を読んでいる。副題に「全サバティカル日記」とあるように、勤務する大学のサバティカル休暇で2010年3月末から翌年の同時期まで、デンマークのコペンハーゲンとアメリカのサンタバーバラで過した日々の日記である。タイトル…