2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小中英之 ――その1

小中英之の第一歌集『わが からんどりえ』は一九七九年に刊行された。小中英之、四十一歳初春のことである。角川書店の<新鋭歌人叢書>全八巻の掉尾を飾るに相応しい充実した一巻であった。参考までに全巻のラインナップを掲げておこう。 1 小野興二郎『て…

永田和宏

Nという書評紙では、文藝時評のほかに短歌、現代詩、同人誌の時評も月に一度掲載していた。掲載は五面の文学欄でなく出版情報を扱う二面だったが、原稿は文学欄の編集者が担当することになっていた。私が文学欄を担当することになったときに短歌時評を執筆…

林達夫

あれはベルクソン『笑い』の改版が出た年だったから一九七六年の暮れということになる。 前年の秋、大学を出て就職した会社を半年で辞めてぶらぶらしていた私は、お誂え向きに編集者を募集していたNという書評新聞に職を得て、翌年、つまり一九七六年の一月…

〔Book Review〕ベン・カッチャー/柴田元幸 訳『ジュリアス・クニップル、街を行く』

本書は、「NYプレス」などの新聞に連載されてカルト的な人気を博したコミックス「ジュリアス・クニップル」シリーズの一冊を翻訳したものである*1。 クニップル氏は一昔前のニューヨークを思わせる都会で、クライアントに依頼されて店舗などを撮影するカメ…