2006-04-30から1日間の記事一覧

静かな日――中村昌義という小説家(その1)

1 中村昌義という小説家がいる。いや、いたと言うべきか。一九八五年一月十三日、二冊の短篇小説集と一冊のエッセイ集を遺して中村はこの世を去った。享年五十三。死因は胆嚢癌の再発だった。 私はこの小説家とおそらく一度だけ声を交わしたことがある。 大…